マグネシウム空気電池について(店舗災害用に)
今日はマグネシウム空気電池についてご説明したいと思います。
<基本構成>
空気電池および燃料電池の一種であり、負極に金属マグネシウムを使用し、正極に空気中の酸素を使用する。電解液としては塩水が利用される。
<エネルギー密度について>
材料としては、マグネシウムはイオン化速度がリチウムに比較して7倍の速度があり大きな発電が期待されている。エネルギー密度が高い材料である。現状では、反応(放電)速度を制限しているのは、マグネシウムのイオン化速度ではなく酸素の吸収速度であり、大電流を取り出すためには、より高効率な酸素吸収を可能にする空気極(正極)の開発が必要になる。
<特許について>
1974年にイギリスでマグネシウム電池の基本特許が、国際特許として出願されたが現在は期限切れとなっている。空気極(正極)の特許が中心になるが基幹部分なので公開はしていない。
<非常用としての特長>
現在は、マグネシウム電池の特長を生かした製品開発(非常用)を目指している。
塩水を注入して始めて発電して電池になる。塩水を入れなければ自然放電しないので使用時まで初期状態が保てる。メンテナンスフリーの画期的な電池です。
<発電機との比較>
ガソリンなどを使用しないので、取り扱いが簡単で安全です。騒音、排気ガスの発生もなく室内で使用できます。阪神淡路大震災では、26%の発電機がメンテナンス不備で動作しませんでした。また、難燃性マグネシウムを使用しているので発火、爆発することは無く安全で環境負荷の少ない電池です。
<市販電池との比較>
市販の電池は保管状態でも自然放電している。電解液を使用しているので電極が劣化して初期状態が保てなくなるので定期的に電池交換する必要がある。電解液は毒性があるので分別廃棄する必要がある。(電解液を使用している電池は全て)
<二次電池化について>
マグネシウムイオンが正極にトラップされやすいため充電が難しいとされていた。硫化物を電解液に溶解しない工夫と正極の構造で解決することが出来る。
シリコーン金属マグネシウム二次電池を開発している。(試作段階)
<今後の展望について>
既にリチウム電池は研究し尽くされているので今後、より大きな発電を生むのは難しい。それに対してマグネシウム電池は初期の研究段階で空気極の酸素吸収率を高めれば飛躍的な発電を生み出す可能性がある。今後の研究次第ではリチウム電池を遥かにしのぐ次世代電池になると期待される。現状で、一次電池に関しては、同体積であればリチウム電池の2倍の発電量に成功している。